バレーボールはネットの高さが決まっているスポーツで、ネットを超えなければ得点することもできないのです。高さが正義なその世界で身長が低いというだけで、レギュラーから外されてしまったり、バレーボールを始められない選手もいました。それほどバレーボールにおいて高さは重要なファクターなんです。
ある時からバレーボール競技の常識を大きく変えるポジションが誕生しました。それがリベロです。リベロとはレシーブ専門のポジションです。スパイク禁止、サーブ禁止、フロントゾーンでのオーバーパスの禁止、リベロには様々な制限がありますが、後衛のポジションに関しては誰でも何度でも交代可能です。
試合中にコート内で起きているリアルな情報を監督に伝え指示を仰ぎコートに戻れば選手にそれを伝える。まさにコート上の監督になれるポジションなのです。リベロ制度は卓越した守備能力を持っているにも関わらず身長が低いという理由だけで試合に出れない選手には大きな転機でした。またバレーボールの醍醐味であったラリーの応酬も卓越した守備能力を持っている選手が入ったことにより更に面白みが増しました。
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リベロ制度はいつからはじまったの?
リベロ制度が試験導入されたのは1997年のバレーボールワールドグランドチャンピオンズカップで、その後1998年に正式に国際ルールとして導入されました。今ではリベロ制度が無かったことさえ知らない選手が多いですが、定着するまでリベロ制度によるプレーの制限にかなり混乱したそうです。
今TV中継でバレーボールの国際大会を観戦すると色違いのユニフォームを着たリベロが活躍している姿をみることができます!
リベロの試合での役割は?
さて、元リベロの私が熱く語ってしまいそうなタイトルです(笑)
たまに勘違いする人もいますが、身長が低いからリベロをやるのではないのです。レシーブが上手いからリベロなんです!主にリベロの役割はサーブカット(レセプション)やディグ(強打レシーブ)などのレシーブ全般を積極的に行うポジションです。
しかし守備専門職でコートに入っているのですから、レシーブは出来て当然です。他のリベロと差をつけるには卓越したレシーブ能力に+αで何ができるか考える必要があります。リベロは常にコートの一番後ろで試合を見る事ができるポジションです。優秀なリベロは試合の中で起きた情報をしっかり判断してブロッカーやスパイカーにその情報を伝えます。
例えば、今日○番の選手はストレートが多いからブロックそっちをしめて!相手はサーブがコートの奥に来るから少し後ろで構えよう!などです。
コート内では目まぐるしく情報が変わります。その情報をしっかり選んで前衛や後衛に指示をしてチームでのレシーブ力を上げる役割も担っているです!場合によってはリベロは何度でも交代する事ができるので、試合中にタイムを使わずに監督とやり取りする事が可能です。この特徴を活かして監督の指示をチームにいち早く伝えることも役割の1つと言えでしょう!
データバレーが主流な近代バレーでは試合をする前から、各選手のスパイクコースやレセプションが苦手な選手がパーセンテージでわかるようにしているチームが多いです。ストレートが得意な選手にはブロックシステムをストレート締めにしてスパイクをクロスに打たせる。抜けたクロスコースには守備に特化したリベロを配置する。
このようなデータとブロックのシステムを組み合わせて試合に臨むのです。このようなデータをリベロも試合前から把握し、状況に応じてそのデータを基にチームをその場で動かす必要があるんです!
リベロのルール制限と特徴
リベロの選手にはリベロのみに適用されるルールがあります。バレーボールの試合を観戦すれば誰がリベロがすぐにわかるようになっています。1人だけ他の選手と「ユニフォームの色が違う」か「Lと書かれたビブス」を着ているからです。すぐにわかるようにして置かないと審判が混乱しちゃいますからね(笑)
- リベロはサーブ打つことはできない
- リベロはスパイクを打つことはできない(バックアタックもダメです)
- リベロは前衛のフロントゾーンからオーバーハンドパスでトスを上げることはできない(即反則ではないが、上げたトスをスパイカーが打った時点で反則)
- リベロが誰かすぐに審判がわかるようにしておくこと(ユニフォームを変える、ビブスを着るなど)
- リベロは後衛の選手との交代であれば自由にできる
リベロはスパイクやサーブなど攻撃に関するプレーを禁止されています。リベロ制度が開始された理由は「卓越した守備力をもった選手をコートに入れる事でよりバレーボールの醍醐味であるラリーを見応えのあるものにする」ことです。
仮にリベロの攻撃を許可してしまうと、バックアタックが得意なオポジットを1枚追加してみたり、セッターをリベロ枠で入れてツーセッターのような戦術としてみたりと大きくリベロ制度の主旨から反していく可能性があります。そのためリベロは攻撃に関するプレーは禁止されています。
リベロ制度は必ず使わなくてはならない訳ではないですが、一般的にはレシーブが苦手な大型選手の交代として入ることが多いです。近代バレーボールではセンターの選手と交代するのが定石になっています。
世界レベルで見るとセンターの選手にリベロをつけることは多いですが、学生のバレーボールなどではチームの事情や完成度にもリベロ制度を色々な方法で使う余地はあると思います!
リベロに必要な技術
すごいレシーブ能力を持ったリベロが後衛に常に1人いるだけで試合の展開は大きく変わります。サーブカット(レセプション)から取る1点と強打レシーブ(ディグ)から取る1点では全く意味が違います。理由はサーブカット(レセプション)から取る1点を取り続けても相手との点は開かないからです。
しかしこちらからサーブを打ち、相手がサーブカットして攻撃してきたスパイクを強打レシーブで上げて切り返すことができれば、これはブレイクポイントと言って相手と1点差を広げるポイントになるのです。バレーボールに置いてブレイクポイントは重要で試合に勝つためにはどこかで必ず必要なポイントです。そのブレイクポイントを量産することに貢献できるのがリベロなんです!
リベロの重要なスキル:強打レシーブ(ディグ)
バレーボールに置いて一番盛り上がる瞬間は強烈なスパイクを放った時ではありません!その誰にも拾えないと思われる強烈なスパイクをレシーブした時に一番盛り上がるのです!
元リベロだからリベロを贔屓にしているわけではありません(笑)レシーブ専門職というとレシーブしかできない地味なポジションに思われるかもしれませんが、決してそうではありません。ブレイクポイントを取る一番最初のプレーは強打レシーブなんです。
相手の強力なスパイカーが放ったボールをとんでもない反応速度とスパイクコースの読みで拾い上げることができれば、チームは勝ちに一気に近づくことでしょう。バレーボールのスパイカーが放つボールの速度は130km近いです。この速度のスパイクは実際にボールが飛んできてからでは反応できません。事前に相手のフォームや味方ブロッカーの位置などを把握し「スパイクコースを読む」を養う事で拾い上げることができるのです。
この感覚を身に付けるために何度も何度も強打レシーブを繰り返し、感覚を研ぎ澄ませていくのです!
リベロの重要なスキル:レセプション(サーブカット)
バレーボールのプレーは相手から放たれたサーブでスタートし、サーブカットをするところから始まります。このサーブカットが試合の勝敗を左右する非常に重要なプレーなんです!サーブには、ジャンプサーブ・ジャンプフローターサーブ、フローターサーブなど様々な種類があります。サーブの種類によりボールの変化は様々です。このサーブに対応してセッターに正確なレセプションができるチームが強いチームなんです。
理由は、セッターへのレセプション返球率が上がると被シャット率が下がるからです。それはなぜか?
セッターにレセプションが返球されると、Aクイックや平行トス、バックアタックなど攻撃の選択肢が増えます。逆にレセプションが大きく乱れると攻撃は両サイドへの2段トスと呼ばれる高いトスになり、1人のスパイカーへの相手ブロッカーのマークが厳しくなりシャットアウトをされてしまう可能性がグッとアップしてしまうんです!リベロはこの重要なレセプション返球率をいかに高めるかが重要となってくるのです。
- Aパス → セッターが全く動かないレセプション。攻撃の選択肢が最も多い状態で相手ブロッカーが的を絞れない状態にできるレセプション
- Bパス → セッターが2-3歩動くレセプション。少しセッターが動いている状態ではあるが、AクイックやBクイックなどのセンターの選手をギリギリ使えるレセプション。しかし相手ブロッカーにある程度的を絞られてしまうため、Aパスに比べると味方の攻撃決定率が落ちます。
- Cパス → 両サイドへの2段トスしか選択できない状態。スパイクを決めるのは難しい攻撃です。
このようにリベロが正確なAパスを量産することが勝ちにつながります!リベロのプレーが勝利へ近づけることは間違いない事実なんです!それほど重要なポジションなんです!