オーバーカットが苦手な選手が多いと思いますが、世界レベルのバレーボールでも無回転サーブに対してはオーバーカットで対応している場面が多いです。
特にスパイカーはオーバーハンドパスでサーブカットした方が次のスパイク動作に移りやすいので、両サイドのスパイカーが多用することが多いです。実際に元女子バレーエースの木村沙織選手も世界のフローターサーブやジャンプフローターサーブに対応するために、オーバーカットでのサーブカットを練習したと言います。
では、実践で使えるオーバーハンドパスでのサーブカットについてお話していきましょう!
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オーバーカットはどの場面で有効?
さて、オーバーカットはどのような場面で有効でしょうか?
サーブカットをする時は、相手がどんなサーブを打ってくるのかを事前に見極めておくことが重要です。バレーボールのオーバーハンドパスとアンダーハンドパスにはメリット・デメリットがあります。というよりも、こういうサーブはアンダーハンドパスが向いている、オーバーハンドパスが向いているという向き不向きがあるのです。
無回転の動くサーブ
冒頭でも少しお話しましたが、無回転のサーブに対して有効なレシーブ方法になります。無回転のサーブは上下左右にフラフラと揺れます。それに対してアンダーレシーブでサーブカットしようとすると、どうしてもミスが出やすいのです。
上下左右にフラフラと揺れるサーブに対して、アンダーハンドパスでサーブカットしようとした時に上方向にサーブが伸びてきたら腕を振って対応してしまう場合が多くなります。また下にサーブが落ちた場合は腰を落としてサーブレシーブすることになるので、体勢が崩れてスパイクに入るタイミングが遅れてしまうリスクもあります。
これらの揺れる無回転サーブに対してオーバーカットで対応することで、上に伸びたボールに対しても腕を振ってサーブカットする必要もなくなりますし、下に落ちたボールに対してはあらかじめ少し前にレシーブ位置を持ってくることによって対応することが出来るのです。
オーバーカットの2つの練習方法
具体的なオーバーカットの練習方法を2つご紹介します。
【練習方法①】近距離での膝つきオーバーカット
【練習方法②】指立て伏せ
【練習方法①】近距離での膝つきオーバーカット
膝をついた状態でオーバーカットを行います。
★練習人数:2人
- 2人の距離は2-3mほど離れてください
- 片方の選手が膝をついた状態でオーバーカットの構えをしてください
- 打ち手は膝をついている選手の手に向かって無回転のボールを打ってください
- 膝をついてレシーブしている選手はボールが来る前から手を上げておいてください
- 慣れてきたら打つボールのスピードを上げていきましょう
この練習方法は腕を振ったり、足でジャンプしたりしなくても、オーバーカットしたボールは飛ぶという感覚を身に付けるための練習です。立っている状態でオーバーカットすると苦手な選手はどうしてもボールを飛ばそうと力んで全身を使って激しくレシーブしてしまう傾向になります。
膝をついてレシーブすることで、「体幹を使って」ボールを飛ばす感覚を養うことができます。またサーブの速度を上げることで、指先の一瞬のタッチでボールの軌道を修正する感覚も身に付けられるので、実践的な練習方法になります。一度試してみてくださいね!
【練習方法②】指立て伏せ
これはトレーニングに該当しますが、オーバーカットを強化するためには指先の力が必須です。
★あと少し指先に力があればボールが飛んだのに・・・
などのミスを改善することができます。指立て伏せに関しては、上記の動画を見てください。地味に見えてかなり指に負荷をかけることができます。慣れるまでは、膝をついて指立伏せをすることをオススメします。
オーバーパスのセット間に指立伏せを挟んだり、何かの罰ゲームにして指立伏せを練習に混ぜるといいですよ!指立伏せで飛躍的にオーバーで飛ばせる距離を伸ばすことができます!
オーバーカットの2つのコツ
オーバーカットのコツを意識して練習することで効果倍増です。ただ何も考えずに数を繰り返してもなかなか上手くなりません。しっかりどこがポイントなのか意識しながら練習するようにしてみてくださいね!
- アゴを引くこと
- 脇を開きすぎないこと
オーバーカットのコツ①アゴを引くこと
オーバーカットをする瞬間は、アゴを引いてください。オーバーカットはボールを自分の「前」で捉えることが重要です。アゴを上げてしまうと、肩の可動域が広がり腕が後方に行きやすくなります。
そのため、バンザイした状態でオーバーカットをしてしまう可能性が高くなり、ボールの威力に負けて指先からボールが抜けたり、上を見ている状態になるため、ボールをしっかり見ることが出来ずミスに繋がってしまいます。アゴを引いてレシーブすることでボールを「前」で捉えてレシーブできるので、ミスを減らすことができるのです。
オーバーカットのコツ②脇を開きすぎないこと
脇を開いてレシーブすることは避けましょう。脇を開いてレシーブすると、オーバーカットの手と手の間に大きな隙間が出来てしまいます。とっさに出した手が隙間だらけだと簡単に手からボールが抜けていってサービスエースを奪われてしまいます。脇を閉じてレシーブすることで、ボールが手から抜けるのを防ぐことができます。
まとめ
オーバーカットは試合を有利に進める上で非常に重要です。無回転のフローターやジャンプフローターサーブをレシーブすることが苦手な選手は非常に多いです。教えている生徒もアンダーパスでレシーブするために、コート後方に下がってレシーブしていることをよく見かけます。
オーバーが苦手だからアンダーで取れるように後方に下がるのは作戦としてはアリですが、練習の時からそれではダメです。チャレンジしなくては上達しませんし、試合で使えるようにもなりません。アンダーレシーブでしかサーブカットできない選手かどっちも出来る選手だったら、どっちも取れる選手が試合のレギュラーになります。
コート後方に下がれば、前にサーブが打たれた時にレシーブ位置からボールの落下地点まで距離が遠いため、ギリギリのレシーブになってしまいますよね。オーバーカットもできれば、コート真ん中でレシーブできるため、前にサーブが来ても後ろにサーブが来ても距離が近いため簡単にレシーブすることができるのです。