Contents
スリーマン練習の目的とは
バレーボールの定番練習にスリーマンと呼ばれる練習方法です。名前の通り3人でコートを守る練習です。
初心者の場合は複数人でボールに触る少し実践に近い練習です。上級者であっても選手の意識次第でとても効果のある練習となります。
- 3人でコートを守るのでチームの連携がよくなる
(人と人の間に飛んだボールに対して声を出していく、他の選手の動きに合わせて守る場所を変えるなど) - 強打レシーブを2段トスにするなど繋ぎのプレーの精度を上げる
- 味方が弾いたボールを如何に落とさないか、粘り強さを作りあげる
- 打ち手の打つところなどを予想する力をつける
バレーボールのスリーマン練習にはこのような効果が見込めます。何となくスリーマン練習をしていると「だらだら」ただしんどい練習になります。
声を出して絶対にボールを落とさないんだ。という意思の元でやる事で個人のスキルもチームの力も大きく底上げされる事でしょう。
【1】3人でコートを守るのでチームの連携がよくなる
2人で正面で向き合って行う対人練習などと異なり、1つのコートを3人で守る練習です。バレーボールの後衛は「レフト」「センター」「ライト」があります。
後衛のフォーメーションにも様々あります。
1つはセンターだけが後ろに下がるフォーメーションでセンターがワンタッチボールを拾う為に動き回る役割を担い、前のフェイントボールはサイドの「レフト」「ライト」が拾うことになります。
相手の攻撃は「サイド攻撃」「A、B、Cクイック」「時間差」など様々あります。このフォーメーションの定位置は、クイックの時は少し前でレシーブ、サイド攻撃の時は下がってレシーブとなります。
しかし実戦ではトスに振られて下がりきれない場合などがあります。
センターはそのコートの穴を埋める為に少し前に詰めるなどの動きをしないといけません。このような想定をしてスリーマンを行う事でより実践的な練習がスリーマンで可能になるのです。
気を付けなければならないのは、「練習の練習にならないこと」です。
スリーマンでレシーブしやすいからと言ってサイドのレシーバーがコートの中へ中へ入っていく人をよく見ます。よく考えてください。
レフトからスパイクされるときに、コートの真ん中に打たれるようなスパイクは完全にブロックが悪いです。
基本的なレシーバーの役目はブロックの横から抜けてきたスパイクを確実に拾う事です。中へ中へ入っていくレシーブは試合ではなんの役にも立ちませんのでご注意ください。
スリーマンではセンターから打ち手がボールを出すことが多いですが、バレーボールの様々な攻撃を意識して練習を行うようにしましょう。
【2】強打レシーブを2段トスにするなど繋ぎのプレーの精度を上げる
打ち手が打ったボールをレシーバーが上げます。そのボールをまた打ち手に返すわけですが、この時に2段トスを意識してスパイカーが打ちやすいトスを上げるように意識しましょう。
2人でトス練習をしてる時と異なり、強打レシーブしたボールはバックスピンが掛かっているのでトスを上げるのが通常と少し違います。この「生きたボール」に慣れる練習にもなります。
味方がレシーブする体制をみてボールが「どこに」「どのような高さ」で飛んでいくか予測する力も身につける事ができる
バレーボールの経験が浅い場合は予想外のボールばかりだと思います。その予想外のボールを練習で反復する事で予想通りのボールにしていくのです。
「あぁこの体勢だとまたこっちに飛ぶなぁ」とか予測できるころにはかなり上達していると思います。何年バレーボールを続けていても意識していない人はこのような予想はできない人が多いです。
この「ボールが来る場所」の予測ができる事であなたのプレイヤーレベルがぐんっと上がります。バレーボール初心者のうちに予測をする癖をつける事でライバルに大きな差をつける事ができます。
【3】味方が弾いたボールを如何に落とさないか、粘り強さを作りあげる
これも味方が弾く方向を予測してレシーブする事で粘り強さが生まれます。レシーブする時に手だけでレシーブしようとする人を多く見ますが、手だけでレシーブしているうちは守備範囲が広くなりません。
そこから足が一歩出してレシーブできたとすると、守備範囲が1歩分広がることになります。ボールに対して手で追いかける癖をつけると、守備範囲が極端に狭くなる上にレシーブが安定しません。
以前「バレーボールのアンダーハンドレシーブがうまく返せるようになる2つの方法!」でもご紹介しましたが、レシーブは下半身を落下地点に素早く運び、下半身でボールを運ぶ動きで操作するのが基本です。
足を運んだ上で届かないボールに対して腕を伸ばすなら問題はありませんが、基本的にバレーボールは下半身でボールに力を伝えて操作する競技なのです。
粘り強さは無理そうなボールを諦めているうちは手に入りません。
【4】打ち手の打つところなどを予想する力をつける
予測する力に関しては、上記でも記載しました。
レシーバーがいつくるか予想できるスリーマンを行うのではなく、いつボールが飛んでくるかわからないようなスリーマンを行う事が重要です。
監督、トレーナーの腕も大事です。下記4つを意識してスリーマンを行うようにしてみてください。
①打たれる瞬間にはレシーバーは止まる
レシーブする瞬間動いていると、動いた方向と反対にボールが飛んできた時に動けないので必ず打たれる瞬間には止まる事。
②届かないボールに対しても届くと信じてトライする
届かないと思っても必死に追えば届く事が多いです。それで繋がった得点はチームに勢いを与え1点以上の価値があります。
③常に自分のところにボールが来る可能性があると思っておく
レシーブをミスする時の多くは「全く予測できていない時」と「目でボールが捕らえきれていない時」が多いです。
常にボールが飛んでくると意識するだけでも予測できないボールにも咄嗟に対応できたり、目でボールを捕られていなくても予測でレシーブすることが可能となります。
④味方がレシーブしたボールが飛ぶ位置も予測する
バレーボールは予測のスポーツです。練習から意識する事で実践の力を鍛えましょう。
上手い人、強いチームは「練習のための練習」はしません。
常に実践を意識した練習を行い練習の質を高めているのです。少しした意識改革でバレーボールでは定番メニューのスリーマンでさえライバルと差をつけるトレーニングになります!
バレーボールにおいて試合に勝る練習はない
個人的にはバレーボールにおいて試合に勝る練習はないと思います。
ではなぜバレーボールの練習をするのか。試合は同じ場面を何度も反復して繰り返しチャレンジする事ができません。しかし練習では自分が苦手なプレーを繰り返し練習できるのです。
それでもバレーボールにおいて試合に勝る練習はないと言い切るのには訳があります。皆さん試合をするならば当然「勝ちたい」と思ってバレーボールの試合に挑むと思います。
当然勝ちたいなら1点はとても大切です。少々悪いトスでも得点になるように打ちにいきますし、味方がレシーブミスしたボールも必死で追いますよね。
ここに実践と練習の差が生まれるのです。
その差とは①「必死で得点を取りにいく気持ち」②「試合の流れでプレーする事で生きたボールを経験できる」この2つが実戦にあって練習に欠如しやすい点です。
大切なのは必死で点数を取りに行く気持ち
反復する練習で繰り返すとなると相当の集中力と勝ちたいと願う気持ちが必要になります。
試合と同じ気持ちでこのボールを落としたら負ける!と必死に食らいつける人はとっても上達が早いです。
私は小学生も指導する時があるのですが、子供はこの気持ちがとても強いです。試合も練習も同じテンションで行います。だから驚くほど上達が早いのです。見習わないといけないなぁといつも感じさせてくれます。
生きたボールを経験することで成長できる
試合で相手が打ったスパイクを味方が弾いてそれを2段トスでつなぐプレーなど、実践形式でなければ中々経験できません。
また反復練習するにも同じシュチュエーションには簡単には出会えません。
そこでスリーマンで常に意識し「予測しプレー」する事で実践の力が身につくのです。
反復練習はつまらないかもしれませんが、強いチームほど地味な反復練習を繰り返します。強いチームはその練習が勝ちに繋がると知っているからです。
いくらスパイクを真下に強く叩きつけてもそんな練習実践ではなんの役にも立ちませんし、ノーブロックの叩きつけたスパイクをレシーブしても実践的な練習にはなりません。
実際は味方ブロックとの関係性があってのレシーブ(ディグ)です。
上達のためにより実践的な練習を意識しましょう。